バーリから東南、60km 長くつのかかとのあたりにあります。おとぎ話の中に出てくるような、とんがり屋根が1400軒。16-17世紀、地元でとれる材料を使って農民たちが自分たちで組み立てました。当時の税金が家を基準に課税されていたので査定の時期に解体、すぐ再建できるように工夫されています。円筒形の壁と円錐形の屋根は地下を掘れば容易に入手できる石灰岩の平たくわれる性格を利用して、その石板を積み上げれて造られています。壁は漆喰を塗りさらに石灰乳を塗ることで白壁になり、屋根は石灰岩が経時変化で黒みを増して、白とグレーの無彩色の空間を作っているのです。地元の地質が生み出した特有の色彩空間になっています。    銀鼠ぎんねず瓦の屋根に白壁の集落を思い起させ親しみを感じさせます。白川郷の姉妹都市。このユニークな都市景観を見に、旅行者の数は増えるいっぽうです。 




入口に日本人の名前があったので入ってみるとイタリアで45年間作家活動を続けてみえる増島豊治画伯の個展会場でした。ローマからここにアトリエを移して現在はトゥルッリを描き続けている、とのこと。偶然でしたが私マルコの訪問を喜んで下さり、近くのカフェでビールをご馳走していただきました。店員さんたちから

マエストロと呼ばれていました。お話によれば、夏こそ観光客が多く訪れ、陽光も穏やかですが、アルベルベッロの冬季はかなり生活が厳しいとか・・ご活躍を期待、東京での個展の開催をお願いしてお別れしました。



木を使わない石積み建築

17世紀 ナポリ王国の統治下 アルベルベッロ(美しい木を意味する)の谷を管理する伯爵ジャン・ジローラモは暴君だった.伯爵はこの谷において小作人をトゥルッロという簡素な石積民家に住まわせた。王国に支払う固定資産税から逃れるため、王国の監査のはいる前日までに解体させ、人が住んでいた所はないものとできるように石積建物を固定するセメントの使用を禁止した。つまり、「すぐに壊せる民家」を要求したのだ。30㎝ほどの硬い石灰岩を用い、2mほどの高さに水平を保ちながら円錐状に積み上げていく、上から石をはずしていけば安全に解体できる。

1797年、独立自治体として認められてからはセメント・モルタル使用が許可され、白い漆喰を塗った町並みづくりによって白い風景となっている。現地産石灰岩のみで建造される、まさに風土に根差した建築の極みです。