ライフ・イズ・ビューティフル   1998   117分

監督主演ロベルト・ベニーニ アカデミー賞外国映画賞 主演男優賞 カンヌ国際映画祭グランプリ ユダヤ人・収容所という語句から想像されるドラマは偏見・差別・処刑が物語の根っこにあります。歴史上最悪の非道が行われたナチス収容所で共に収監された息子のために愉快な演技を貫き、「人生は美しい」というラストを迎える。。米映画「ダウン・バイ・ロー」出演のイタリア人喜劇俳優としか記憶になかったベニーニが突然世に出た感がありました。授賞式でソフィア・ローレンからオスカーを渡された時のベニーニの感激の涙「人生は美しい」私マルコご贔屓の往年のドイツ系俳優ホルスト・ブッフホルツ(米映画「荒野の七人」若者役)を久しぶりに見ることが出来て幸せでした。T

ルートウィヒ神々の黄昏 1972 240分

バイエルン国王ルートヴィヒ2世 政治から離れ 芸術と美の世界に生き狂気の世界に入っていく 作曲家ワーグナーとの親交など、多くのエピソードが国王役ヘルムート・バーガー がもつミステリアスな雰囲気がをドイツ系女優ロミー・シュナイダーが美しくカバーする。監督ヴィスコンティは名門貴族出身 豪華絢爛な映像こそ真骨頂だったかもしれません 出稼ぎ労働者や生きていくのが困難な群像を描く一方で、自分のために城を建てる人間を描く両極端、ネオ・レアリズモ風もあり重厚なドラマもありで彼の作品はどれもこれも芸術です。C



旅情 1955 102分 イギリス映画

監督デヴィッド・リーン 音楽アレッサンドロ・チコニーニ 出演キャサリン・ヘプバーン ロッサノ・ブラッツィ 「アラビアのロレンス」など、映画史に残る秀作を生み続けたイギリスの名匠がまた1つ傑作を作った。夏のベニスにやって来た一人旅のアメリカ人女性ジェーン(キャサリン・ヘプバーン)、何らロマンスもなく、婚期を逸したジェーンは夏の光を異国で浴びて淋しさを忘れようと・・サン・マルコ広場のカフェ・テラスでウェイターと言葉が通じず戸惑っていると、隣に居合わせた中年男性が助けてくれた。ジェーンはその銀髪の実直そうな男性をみて、動揺する、ホテルに帰ってからも彼の顔が忘れられない、その思いも冷めやらぬ頃、骨董品店に入って真紅のゴブレットを買う、支払いをしようと店主をみると何とあの男性レナート(ロッサノ・ブラッツィ)だった。この後、数日の2人の燃え上がる恋と別れ、チコニーニの切ないメロディ「サマー・タイム」がこの作品を更に忘れ難いものにしました。時をおいて何度でも見たくなるベニスの旧き良き時代とドラマ。T

略奪者たち 2020 109分

監督ピエトロ・カステッリット 音楽ニッコロー・コンテッサ 出演マッシモ・ポポリツィオ ジョルジョ・モンタニーニ  2021年イタリア映画祭上映 ヴェネツィア映画祭 オリゾンティ部門で脚本賞受賞

ローマに住む2組の家族の物語。銃器店を経営するクラウディオは強がりで見栄っ張りだが母親のイネスが自動車事故にあって動揺する。イネスを助けたピエルパオロは映画監督である妻ラウラに隠れて同僚の女友達と関係をもつ。ピエルパオロの息子フェデリコは主任教授からニーチェの遺体調査チームから外されたことを恨み、クラウディオから爆弾を手に入れる。爆破を成功させるが逮捕される。クラウディオはフェデリコの口から爆弾の入手先が割れる前に殺すよう叔父のフラヴィオに命じられるが母親の命の恩人の息子を殺すことが出来ない。銃好きの12歳の息子にフラヴィオを撃たせる。 この作品をブラックコメディとして紹介する映画関係者、さすがイタリア!感心します。



ロベレ将軍   1959    140分

監督ロベルト・ロッセリーニ  音楽レンツォ・ロッセリーニ 出演ヴィットリオ・デ・シーカ ハンネス・メッセマー サンドラ・ミーロ ジョヴァンナ・ラッリ

第二次大戦末期の1944年敗戦が濃厚になってきた北イタリアを舞台に、ゲシュタポ:ナチ司令官ミューラー大佐(ハンネス・メッセマー)の手先としてレジスタンスの指導者ロべレ将軍(デ・シーカ)に成り済ましてスパイ活動する詐欺師の物語。九人の捕虜が刑務所に送られてきた。その中にはパルチザン指導者がいるのだが、それが誰かはよくわかっていなかった。その人物は獄中でロベレと連絡をとるだろうと考えた大佐は、偽のロベレ将軍に探索を命じた。牢獄でパルチザンと接触していく中で徐々に愛国心に目覚めていく姿を、ヴィットリオ・デ・シーカが見事に演じている。戦後、ネオレアリズモ映画の監督として名高いデ・シーカ監督は俳優としても戦前から高い評価を受けていたが、この作品では監督仲間ロッセリーニの演出の下、往年の名演ぶりを存分に発揮した。牢獄で目的の人物を発見したが、口を閉じ、ロベレ将軍として処刑されるラストのクライマックスの感動はイタリア映画を代表する二大巨匠作り上げたもの。記念すべき傑作である。ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞 T

ロザリオの悲しみ 1968  104分

 監督エリプランド・ヴィスコンティ 音楽エンニオ・モリコーネ 出演アントニオ・サバト アン・ヘイウッド ハーディ・クリューガー カルラ・グラヴィーナ        60年代を代表する米女優の一人、アン・ヘイウッドのイタリア映画出演は「カルタゴ」に次ぎ2度目になる。僧院で起きる深刻な愛欲ドラマのヒロインを演じた。17世紀初頭、スペインの片田舎モンザ。ここである日、政府の重税政策を執行する役人が殺された。殺人者のジァムパオロ・オジオ(A・サバト)は、友人のアリゴニー神父(H・クリューガー)に救いを求め、彼のはからいで、シスター・バージニア(A・ヘイウッド)に助けられた。一方、以前からバージニアに道ならぬ想いを寄せていたアリゴニーは、浮気者で評判の悪いオジオを利用する。アリゴニーにけしかけられたオジオは、バージニアを襲った。必死に抵抗した彼女も、いつしか愛情を抱くようになった。僧院の中での、二人の背徳の生活が続いたがミラノの検査官の耳にバージニアたちの背教行為が知れ、彼女はミラノに送られてしまった。一緒に逃亡したオジオは、ミラノに向う途中、殺されてしまった。そして、その頃、バージニアは僧職法による、裁きの庭に立たされ、神の名のもとに、真闇の土牢の中に閉じ込められてしまった。T



ローマの女  1954 108分

監督ルイジ・ザンパ 原作アルベルト・モラヴィア 音楽エンツォ・マゼッティ 出演ジーナ・ロロブリジーダ ダニエル・ジェラン フランコ・ファブリッツィ レイモン・ペルグラン 主演のジーナ・ロロブリジダは原作者モラヴィア自身がヒロインのイメージぴったりと言った。原作に忠実であろうとした脚本による濃いメロドラマだが、ロロブリジーダの魅力が十二分に発揮されている。1935年、ファシスト時代のローマ、貧しいアドリアーナ(ジーナ・ロロブリジーダ)はモデル女としてアトリエに通ううち、金持のお抱え運転手ジーノ(フランコ・ファブリッツィ)と恋に陥った。ある日曜日、友達にドライブを誘われたアドリアーナはアルコールで前後を忘れ、大物政治家アスタリータ(レイモン・ペルグラン)に体を許した。彼女は数日後、アスタリータからジーノには妻子があると聞かされ・・。絶望したアドリアーナはそれ以来、男から男へ、行きあたりばったりの愛情に生きる女になった。そのうち、ミーノ(ダニエル・ジェラン)と知り合い、心から愛し合う仲となった。彼は反政府用のビラを配る政治運動をやっていたため逮捕されてしまう。釈放されたミーノは別人のように変っていた。同志を裏切って、アスタリータの訊問にすべてを告白したというのだ。幾日か過ぎ、その自責からミーノは自殺、涙にくれるアドリアーナは生まれてくる子が男ならミーノと名づけようと決めた。T

ローマの恋 1960 113分

監督ディノ・リージ 音楽カルロ・ルスティケリ 出演ミレーヌ・ドモンジョ エルザ・マルティネリ ピーター・ボールドウィン   一時はバルドーとともにフランス女優界を担ったミレーヌ・ドモンジョ、イタリア語が堪能なためか、イタリア映画出演作も多い。貴族の息子で文芸評論を書いているマルチェロ(ピーター・ボールドウィン)はフィアンセのフルヴィア(エルザ・マルティネッリ)との関係がうまくいかなくなった矢先、偶然女優志願の少女アンナ(ミレーヌ・ドモンジョ)と出会い、強引に彼女のアパートに泊ってしまう。数日後、マルチェロはある寄席でアンナの姿を見つけ、すぐに撮影所にかけつけるが、アンナの周囲は実業家クルタトニや俳優のトニーなどがとりまき、マルチェロは彼女に近づくことができなかった。傷心の彼は久々にフルヴィアに会ったが、そのとき彼女の友人という美しいエレオノラに紹介された。

がそのエレオノラが実業家クルタトニの娘であることを知ったとき、マルチェロの心にはアンナの姿がまざまざとよみがえった。彼はアンナを求めた。二人は再び結ばれた。愛し合う楽しい日々……。しかし、アンナの肉体は彼女の心さえも裏切るようなすさみ方をしていた。彼女はマルチェロにかくれて若い男をひき入れていたのである。当時話題になった主役の2人、ドモンジョとボールドウィン、この映画以降、輝き続けたのは意外にも後者のほうでしたね。T



ローマ環状線、めぐりゆく人生たち 2013 93分

監督ジャンフランコ・ロージ 仏伊合作 ドキュメンタリー映画  この映画は、ローマの環状高速道路「グランデ・ラッコルド・アヌラーレ」(GRA) 周辺に暮らす人々の人生を描いている。ロッシはこの作品の撮影に2年をかけ、編集に8か月を費やした。ロッシによればこの作品は、イタロ・カルヴィーノの幻想小説『見えない都市』からの影響を受けているという。高速道路に沿って建てられたモダンなアパートに住む老紳士とその娘、シュロの木に寄生した害虫の世界に没頭する植物学者、この害虫の実写には目を逸らしたくなる恐怖すら覚える、果てしない交通事故の知らせに休む間もない救急隊員、後継者がいないことに悩むウナギ漁師、年老いたソープオペラの俳優、夢と名声を追う若者など、GRA周辺部に住む人々の暮らしをとらえ、その風景の中からイタリアの光と影や欲望と混沌、そこに生きる人々の息づかいを伝える。第70回ベネチア国際映画祭で、ドキュメンタリーとしては史上初となる金獅子賞を受賞した。1972年「フェリーニのローマ」を撮ったF・フェリーニに是非とも感想が聞きたく思いました。T

ローマの教室で 2012 101分

監督ジュゼッペ・ピッチョーニ 出演マルゲリータ・ブイ リッカルド・スカマルチョ ロベルト・ヘルリッカ  ローマのとある高校を舞台に、教育熱心な国語の臨時教師ジョヴァンニ(スカマルチョ)、情熱を失った美術史の老教師フィオリート(エルリッカ)、しっかりものの校長ジュリアーナ(ブイ)ら、3人の教師を中心に繰り広げられる人間模様を描く。どこの国にでもいるような問題を抱えた生徒たち、出席日数が足りない女子生徒や、親に見捨てられ転校を余儀なくされる男子生徒、授業中ふざけてばかりいる生徒など、教師たちは教育現場で悪戦苦闘、しかし彼らは出会う生徒たちの変化によって、失いかけていた教育への希望を見出していく。教育現場の問題だけをクローズアップして描くのではなく、教師の立場から、人と人とのつながりを優しく見つめた。イタリア演劇界の至宝と呼ばれるロベルト・エルリッカが「未熟なままでも卒業させる。困るのは本人だ。」と教育への情熱を失い、学校そのものに幻滅を感じているベテランのフィオリート先生を演じた。この彼が教育に希望を見出していくラストが爽やかで素晴らしい。ローマで30年以上にわたり教鞭をとっている作家マルコ・ロドリのエッセイ「赤と青」を原案にした学園ドラマ。T



ローマ法王の休日  2011 104分

 イタリア・フランス合作 監督ナンニ・モレッティ 出演ミシェル・ピッコリ 長年イタリアのウッディ・アレンと言われてきたナンニ・モレッティの映画。ローマ法王のつかの間の休日を笑いと涙を交えて描く。ローマ法王が死去し、新しい法王を選出するため各国の枢機卿がバチカンに集まる、「コンクラーべ」と呼ばれる有名な法王を選出する会議のためだ。全員が心の中では面倒な法王に選ばれたくないと思うなか、誰もが予想していなかったメルビル(ミシェル・ピッコリ)が新たな法王に選出される。メルビルはプレッシャーのあまりローマの街へ逃げ出すが、街の人々と触れ合うことで人生において大切なものや法王の存在意義とは何かを見つめ直していく。フランス映画界を代表する俳優と言ってもよいミシェル・ピッコリが大役を前にして自分の信仰心に疑いを抱く聖職者を、微笑ましくも堂々と演じた。ちなみに主人公の名前は、監督がファンだというフィルム・ノワールの巨匠ジャン=ピエール・メルビルに因んでいる。ピッコリの遺作。T

ローマ法王になる日まで  2015 113分

監督ダニエレ・ルケッティ  2013年に史上初となるアメリカ大陸出身のカトリック教会長として第266代ローマ法王に就任したフランシスコの半生を、実話をもとに描く。物語は、後にフランシスコ法王となるベルゴリオ枢機卿が、コンクラーベ(教皇選挙)のため訪れたバチカンで半生を回想する形で始まる。ルゼンチンの首都ブエノスアイレスで信仰を志し、イエズス会に入った若きベルゴリオは南米イエズス会の管区長となるが、足元では1976年からの軍事独裁政権の恐怖政治が強まり、人々の拘束や失踪が相次いだ。この映画の凄さはこの政権の残虐性を眼を覆うほどの映像で見せたところにある。ベルゴリオは反政府運動に携わった神学生らを何とか逃そうと奔走する。多くの人が葬られ、あるいは深い傷を負うなか、ベルゴリオは無力さに打ちのめされて嗚咽する――フランシスコ法王は「清貧」を説いて専用車を使わず、誕生日をホームレスの人たちと祝い、信者に限らず人心を引きつけている。ルケッティ監督は法王について、「彼が法王に選ばれた時、人々に語りかけるさまがとても現代的、直接的かつフランクだったのに驚いた。同性愛や社会問題への態度についても驚きを感じた。」と述べている。T



ローマの休日 米映画 1954 104分


監督ウィリアム・ワイラー 脚本ダルトン・トランボ 出演オードリー・ヘプバーン グレゴリー・ペック エディ・アルバート 

一定の世代以上の日本人なら、ほぼすべての人が見ている映画、というより、映画=『ローマの休日』=オードリーとなっています。頻繁に行われてきた各種メディアのアンケート、ベストテンなどに常に上位にランキング、リバイバル回数、ビデオ・DVD売り上げなどこの映画の人気は衰えを知りません。公開当時の映画誌「映画の友・スクリーン・キネマ旬報」の表紙はオードリー、内容も年中、この映画の話題を取り上げていた・・とか。

ローマの観光ガイドにもなって旅行誌には必ず記載され、ツアーまで組まれています。

登場する名所旧跡→スペイン広場・コロッセオ・カフェグレコ・トレビの泉・アッピア街道・真実の口(サンタ・マリア・イン・コスメディン教会)・コロンナ宮殿・ブランカチオ宮殿・クィナーレ宮殿・サンタンジェロ城。

映画評論家 (故)淀川長治氏(当時「映画の友」編集長 公開前にワイラー監督と会っている)のこの作品への賛辞の一部を紹介します「『ローマの休日』はアメリカのワイラーのオードリーの、きれいな、きれいな、空気だよ。その清い空気が見る私たちの胸を洗うのだ。しかも裏側に恋が泣いて去ってゆく。このラストでだれもがまた泣きたくもなるんだなア」

ヨロッパ各国を親善旅行で回っているアン王女(某小国の)は大使館の侍従の姿が見えないうちにローマの街に出てみた。特ダネ記事を探しているアメリカの新聞記者ジョー・ブラドリーと偶然出会ってから、大使館でのラストの記者会見まで、格調高く描いた「喜劇」。この類まれな脚本は誰が書いた?1970年の3回目のリバイバル時の映画パンフが私マルコの手元にありますが、脚本家(アカデミー脚本賞受賞)名はクレジットと同じマクレラン・ハンターのままです。80年代後半から90年代、映画やシナリオの研究者の方々によって真の脚本はダルトン・トランボによって書かれた・・という点が明らかにされました、今では周知のことです。1950年代ハリウッドで吹き荒れた「赤狩り」の犠牲となって仕事から干されていたトランボにワイラー監督は救いの手を差し伸べた、アメリカ資本でイタリア・ローマで撮影する。マーシャル・プランによるヨーロッパ経済援助という大義のもとに、クレジットにはトランボの名前は伏せて(この点はトランボ自身、ワイラーの身の安全のために希望した)完成した。映画のラストでジョーの仲間アービング(エディ・アルバート好演)は特ダネ写真のネガをカネにせずアン王女にそっと渡す、カネよりもジョーとの友情を大切にした、この映画の成功はこの場面にありました。人の信頼が失われた、ハリウッドの「赤狩り」(マッカーシー旋風)にワイラーが一石を投じた、ワイラーとトランボの関係も映画同様、感涙ものですね。C


ロミオとジュリエット 1968 139分

監督フランコ・ゼフィレッリ 出演レナード・ホワイティング オリヴィア・ハッセー

主役の2人の年齢は「ロミオとジュリエット」映画史上最も若い、ロミオ役ホワイティング16歳、ジュリエット役オリヴィア・ハッセー15歳、という全くの新人が力演、ゼフィレッリ監督はシェイクスピア最大の悲劇を現代に蘇らせた。舞台はヴェローナ、名門モンタギュー家とキャピュレット家は代々対立していた。夫々の息子と娘が恋におちる。周囲から追い詰められた2人はロレンス神父に助けを求める。神父は彼女をロミオに添わせるべく、仮死の毒を使った計略を立てる。しかし、この計画は追放されていたロミオにうまく伝わらなかった。そのためジュリエットが死んだと思ったロミオは、彼女の墓の側で毒薬を飲んで自殺。その直後に仮死状態から目覚めたジュリエットも、ロミオの短剣で後追い自殺をする。中部イタリアの古都トゥスカニアでのロケが時代の雰囲気を出し、ニーノ・ロータの音楽が心にしみる。C



ローマ帝国の滅亡 1964 188分 米映画

監督アンソニー・マン 音楽ディミトリ・ティオムキン 出演ソフィア・ローレン、スティーブン・ボイド、アレック・ギネス、クリストファー・プラマー、オマー・シャリフ

ローマ帝国五賢帝の最後マルクス・アウレリウス(アレック・ギネス)は死期が迫った自分の後継者選びに悩む、息子コモドゥス(プラマー)は器でなさそうだし、軍団指揮官リヴィウス(ボイド)なら信頼できるが娘ルチラと愛し合っているが、ペルシアとの友好を考えればアルメニア王(シャリフ)と結婚して欲しい。コモドゥスとリヴィウスの対立を軸に重厚なドラマが展開する。製作費80憶円(スペイン、マドリッド郊外にローマの街を再現した)、4年の歳月、豪華なキャストはまさに、大作。ローマ皇帝の娘を演じたソフィア・ローレンの気品ある演技はイタリア喜劇のイメージからは想像できないものがありました。T



ローマの太陽の下で 1948 93分

監督レナート・カステラーニ 出演オスカル・ブランド リリアーナ・マンチーニ アルベルト・ソルディ

『二ペンスの希望』1951でカステラーニは「明るく楽天的な(バラ色の)ネアレアリズモ」の創始者、という批評を受けるがこの作品に関する限り「バラ色」とは言えない。思春期の少年チロの視点でドラマは描かれるが、驚くべきことに、この横柄で我儘な人物に共感することが出来ない。戦時中のローマ、サン・ジョヴァンニ大聖堂界隈に住む17歳のチロは夜間警備員の父と家事にあけくれる母の愛情を一身に受けて育った。チロは近所の少年たちと禁止区域での川遊びのなか、父から贈られた白い運動靴を警官に没収されてしまう。コロッセオの片隅を寝床にしている友人ゲッパはタバコの吸い殻を収集し、転売することによって生計を立てている。ゲッパはチロが70リラの運動靴が買えるよう、吸い殻集めをするほど友人思いだ。ナチス占領軍が到着すると、チロは強制徴兵と強制送還を避けるために、同い年の娘アイリスの家に隠れる。チロの無謀な外出中、母を心痛で死亡、父はチロが関わった悪事のため殺害される。ここに至って、チロは真っ当に生きる決意をするも父母の死はにがい思い出として残るだけだ。アルベルト・ソルディの悪役は珍しい。D

ローマを占領した鳩 1962 103分

監督メルヴィル・シェイヴルソン  音楽アレッサンドロ・チコリーニ 出演:チャールトン・ヘストン  エルザ・マルティネリ   ハリー・ガーディノ ブライアン・ドンレビー  

『五つの銅貨』1959でハリウッドを代表する音楽・コメディ映画作家となったメルヴィル・シェイヴルソンが『無防備都市』をコメディロマンスの舞台に変えた。戦争末期、イタリアのアンツィオに上陸した米軍はローマ市内に地雷が敷設されているか否かを探るためにスパイ経験ゼロの2人の兵士、歩兵大尉ポールと無電技師ジョー軍曹を送りこんだ。2人が身を寄せたレジスタンスの一家にはアントネラ・ロザルバ姉妹がいた。ジョーとロザルバが相思相愛になり婚約発表をする復活祭の晩、アントネラは伝達手段としての伝書鳩をご馳走の材料にしてしまう。その後、ドイツ軍の伝書鳩が紛れ込んだことからドタバタになるが、最後はポールがドイツ軍司令部から盗んだローマ防備体制の地図を一羽残っていた米軍の鳩につけ放ち、その情報を元にアメリカ軍は出動、不意を突かれたドイツ軍は壊滅、ローマは解放された。ポールとアントネラが笑顔で抱き合い、平和のシンボルとしての鳩がローマ上空を飛び交う。  T