監督・脚本フェデリコ・ボンディ 出演カロリーナ・ラスパンティ アントニオ・ピオヴァネッリ
ダウン症の方、ダウン症のお子さんを授かったご両親に是非見て欲しい映画 生きる喜び、共に暮らす喜びがひしひしと伝わってきます。ダウン症女性ダフネは、地元スーパーで働いている。快活で積極的なダフネは同僚から暖かく受け入れられている。真心のこもったダフネの言葉を耳にすると誰しも振り返り笑みを浮かべる。しかし、突然の母の死によってダフネは平静さを失う、父ルイージはダフネを必死になだめようとするが・・・憔悴しきった父親の姿に胸を痛めたダフネは、お墓がある母の故郷を訪ねようと提案する。この旅の途中でのダフネとの会話、出会った人々の善良さによってルイージには笑顔が戻り、生きる気力がわいてくるのだった。ダフネを演じたカロリーナ・ラスパンティは著書の中で「ダウン症であることはちっとも負担ではない」と述べ、著作による収益は障害者のための寄付に当てている。 イタリア映画祭2021上映 T
監督マウロ・ボロニーニ 音楽エンニオ・モリコーネ 原作は『家族日誌』のイタリア文学を代表するレアリズム作家バスコ・プラトリーニ 20世紀初頭のフィレンツェ、アルノ川のほとり 主人公の青年メテッロは労働者として実直に働くが、フィレンツェは階級闘争の歴史の古い街、メテッロは父親ゆずりの労働運動の闘士として管警と対立、投獄。オッタビア・ピッコロ扮する健気な妻に支えられながらも、年上の女性に惹かれたりもする、情感漂うフロレンスの風景を抒情あふれるモリコーネの音楽が、メテッロの青春を詩的に綴ります。ピッコロはこの映画でカンヌ映画祭主演女優賞に輝きました。原題「メテッロ」を「わが青春のフロレンス」にしたヘラルドのネーミングがグッド C
監督ルキノ・ヴィスコンティ イタリアの南北経済格差からくる社会問題を、南部バジリカータ州から北部の大都会ミラノに移住するある家族の物語として描く。母と5人の息子。5人のエピソードが緻密な脚本によって描かれる。アラン・ドロン扮する3男のロッコが原題のロッコで、事実上の主役といえる。次男の持ち込む問題を引き受けるなど、父親的タフさを見せるが家族の崩壊を止めることはできなかった。アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」のイメージを覆す演技、アニー・ジラルド最高の演技が見られる。ニーノ・ロータの音楽も聴けます。3時間という上映時間が、とても短く感じるのはドラマの面白さと映像のすばらしさのおかげ。T
監督セルジオ・レオーネ 音楽エンニオ・モリコーネ 出演ロバート・デ・ニーロ ジェームズ・ウッズ エリザベス・マクガヴァン チューズデイ・ウェルド ジョー・ペシ バート・ヤング ダニー・アイエロ
1964年の『荒野の用心棒』から20年、レオーネは西部劇とは全く違う時代と空間でユダヤ系ギャングたちの物語を作った。ニューヨークのイーストサイドを精巧に再現、モリコーネの楽曲がこの作品のもつ哀切なムードを高めている。二人のギャング団のリーダー、ヌードルス(デ・ニーロ)とマックス(ウッズ)の軌跡を1921年、1933年、1968年の3つの年で区切り、物語を進めていく。4時間近い上映時間でレオーネは自信たっぷりにつくった。この映画制作直後に亡くなってしまったレオーネは堂々と名匠の仲間入りを果たしました。C
監督ピエトロ・ジェルミ 音楽カルロ・ルスティケリ 出演ピエトロ・ジェルミ フランカ・ベットーヤ ルイザ・デラ・ノーチェ エドアルド・ネヴォラ
ひとり息子ジュリオの療養のため田舎に妻と子を送り出したアンドレアは日曜ごとに彼らのもとを訪れるのを楽しみにしていた。そんな彼が近くのアパートに住む若いOLリータといい仲になったのは彼女の弟の就職を世話したことがきっかけだった。妻子が帰るまでに彼はリータと別れようとするがアンドレアに夢中のリータは窓から身を投げてしまう。アンドレアが妻にすべてを打ち明けると妻は息子とともに実家に帰ってしまった。ひとりアンドレアは酒におぼれる日々が続く、やがて新しい年を迎えた朝、酔いしれて帰ると、妻と子が戻っていた。ジェルミ監督は『鉄道員』56と同じく、自ら主演をつとめ妻子役も同じ俳優を起用して描いた。
彼の描く小市民のしみじみとした日常は戦後の混乱期から高度成長期への過渡期の社会をドラマチックに見せてくれる。T
監督エリオ・ペトリ 原作レオナルド・シャーシャ 出演ジャン・マリア・ヴォロンテ イレーネ・パパス ガブリエレ・フェルゼッティ シャーシャのベストセラー小説を原作とするアクション社会ドラマ 妻ある男の恋愛は死に値する罪悪だとされるシチリア。町の薬剤士と医者が何者かに
射殺される。薬剤士が町の娘と深い恋に陥っていたため事件は掟を破ったことに対するマフィアの仕業とされる。だが疑問を感じたパオロ教授は調査をするうち、医師は町の政治腐敗を告発したため殺されたらしいことを知る。教授は医師の妻だったルイザと彼女の従兄の弁護士ロゼロの協力を得ようとする。ルイザは協力するがロゼロには断られる。事件の黒幕がロゼロだと知ったとき、教授は暗殺される。町ではロゼロとルイザの結婚式が行われた。正義を貫こうとするが残念な最期を迎える役どころはジャン・マリア・ヴォロンテの風貌にぴったりです。T
監督 5人(アルフレッド・グワリーニ ジャンニ・フランチョリーニ ロベルト・ロッセリーニ ルイジ・ザンパ ルキノ・ヴィスコンティ)によるオムニバス 脚本チェザーレ・ザヴァッティーニ 音楽アレッサンドロ・チコニーニ 出演エンマ・ダニエーリ アンナ・アメンドラ アリダ・ヴァリ イングリッド・バーグマン イザ・ミランダ アンナ・マニャーニ 第1話 スターを夢みてチネチッタに集まってきた2千人の女性、コンテストで2人が勝ち残る。 第2話 大女優の孤独と虚無感 第3話 隣人が飼う鶏からバラ園を守るため奮闘する 第4話 女優の道を選んだことで子供を得られなかったことを悔やむ 第5話 売れっ子女性歌手とタクシー運転手の追加料金をめぐるおしゃべり合戦 個人的にはバーグマンのコミカルな演技がみられる第3話が一番好き。こんなに明るい役どころは見たことがありません、何より彼女の話すイタリア語が素晴らしい。『自転車泥棒』『靴みがき』などネオレアリズモを担ってきた脚本家ザヴァッティーニが貧困・失業のテーマから女優の世界にスポットライトをあてた、イタリア映画のイメチェンになりました。D
監督クラウディオ・ノーチェ 出演ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ バルバラ・ロンキ アントニオ・ジェラルディ
ローマ、1976年 10歳のヴァレリオは、警察幹部の父が自宅前でテロリストに襲撃されるのを目の当たりにしてしまう。"鉛の時代"と呼ばれるマフィアと警察組織との抗争時代を描いた作品。壮絶な現場の記憶がぬぐえず心に傷を負うヴァレリオ、彼には架空の友人がいるが、ある日、家の前でサッカーをしていると、クリスチャンという年上の少年が話しかけてくる。突然現れ、また、いなくなる彼は実在するのか?父親が命を狙われ続け家族にも危険が迫る・・父親を演じたピエルフランチェスコ・ファヴィーノはヴェネツィア映画祭で主演男優賞を受賞 T